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うぐはら

  • プロフィール
    感想なのか詩なのか分からない文章を書く人。エンタメ小説を中心に純文学、エッセイなどを読みます。
    邦楽ロックとJ-POPが好物。

  • トタン屋根の残骸は人間の首から上を吹き飛ばし、旋風は豆粒の如く人々を軽々と巻き上げる。
    溺死者が川面を流れてゆき、水面には見る影もなく膨らんだ花魁が、重なり合って息絶えている。

    火達磨になって死んだ男。
    憐れなるかな。大人しく言うことを聞いて、背負った荷物を捨てていれば助かったかもしれぬのに。

    愚かなるかな。今も昔も、根も葉もない噂で人が死ぬのは変わらない。朝鮮人というだけで、罪のない人々が殺された。

    ホラ吹きと言われた地震学者に、流言・暴動・憲兵の虐殺。
    陰惨たる過ちの歴史がここに連なる。
    著者は冷徹にならない程度に距離を置きながら、意見を述べる。

    知るのも自由、知らぬのも自由。
    但しここに書かれたものは全て事実であることを、ゆめゆめ忘れてはならない。
  • 「本には奇跡を起こす力がある」。その言葉を彼は信じた。
    くすみ書房を支援する輪は、いつしか全国に広がっていった。

    「神様ほんの少しだけ 絵に描いた幸せを」。

    気を抜くと忘れてしまいそうなぐらいにささやかだ。ささやかだけど、大切な輪。彼には同じぐらい思い入れが強くて、優しい歌が似合う。

    「さあここにおいでよ 何もないけれど
    どこにでも行けるよ 少し身悶えるくらい」

    当たり前の日常のなかに人知れず咲く花を、人は奇跡と呼ぶのかもしれない。
  • 「なんてことはない、当たり前のことをしているだけだ」と叱られそうだけど、頑張っている彼女の姿を見ていたら、応援せずにはいられない。

    POPを書いて、本をむさぼり読んで、在庫管理を行い、料理をする。

    等身大で、背伸びもなしに、気楽にふらっと立ち寄れる。

    顔なじみの本屋のようなエッセイに、最大限の気持ちをこめて、元気いっぱいの応援歌を。
  • 光は、深い闇から生まれる。
    それゆえに、優れた作家は、時に底なしの闇を抱えている。

    高圧的で異形の男が生み出した繊細な細工たちは、
    彼の心までも自由に動かすことはできなかった。

    異形に生まれたことが、彼の不幸であったのではない。
    異形でも愛嬌があれば、運命は好転していたことだろう。
    「誰も愛することができなかった」という事実こそが、
    彼にとっての最大の不幸だったのだ。

    作品として偶像化された踊り子は、人知れぬところで涙を流す。
    それは枯れ果てた硝子越しの地面を伝って、色のない世界に光を与えることだろう。
  • あるときはイチイの木であり、
    あるときは狩人ハーンであり、
    樹木神ケルヌンノスである。

    そんな怪物の話は、不条理と理不尽に満ちている。

    まるで、底なしの悪夢に溺れてゆくかのように、
    物語の爪がゆっくりと肩に食い込んでゆくのが分かる。

    しかし、ただの不条理で片づけられるならば、
    これほどまでにこの物語が支持されることもないだろう。

    事実から逃れることは難しくても、
    事実を話すことは誰にだってできるのだ。

    痛みを伴い、理不尽と向き合いつつも、
    いかに生きるかという知恵を与えてくれたこの本に感謝を込めて。

    神らしき存在に「魂」を売ろうとする一人の人間について歌った、テッセラクトの「Perfection」で、この残酷で甘美な悪夢を終わらせることとしよう。
  • つっこみどころ満載ですが、どうかそっとしてあげてください。
    「味噌汁ちゃんの匂いがして」というところが好きです。
  • それは、たった一人の男性が、「子どもたちのために」書き起こしたことから始まった。

    宮沢賢治は、死後になってはじめて評価された作家のうちの一人だ。
    銀河鉄道の夜は、何度も何度も改稿を重ね、現在の形になったということは、あまり知られていない。

    彼の物語は時代を超え、世代を超え、読み継がれ、受け継がれている。

    鉱石と星と動物を愛した彼は、自然の美しさと、命の尊さと、人間の理不尽さをこれでもかというぐらい描いた。

    新しい時代のために、より現代に近い形に「改稿された」宮沢賢治。

    この言葉が、この物語が、よりたくさんの人に届いてくれるように心から祈っている。
  • 言葉の海、言葉が水のように流れてゆく。やっとこの小説に相応しい音楽を見つけた。

    誰かこの物語の解読を頼む。
    この、新感覚としか言い様のない、とめどもなく溢れ出しそうな言葉の波に、私は名前をつけることができないのだ。
  • 夢から目を覚まして、気づいてしまった。

    そうだ。もう君は居ないのだ。

    どんなに名前を呼ぼうとも、何をしても声は返ってこないのだ。

    本当は儚くて、芯のところは強くて、心は優しい。

    桜のような君を思いながら、僕は目を閉じる。

    「不釣り合いだ。」指を指しながら、誰かの笑う声がする。

    だけど、正反対だからこそ、人は惹かれる。

    そして恋をして、また人を想って。

    人は人を好きになる。

    またいつか、君に出会える日を思いながら。

    「きっと、また会える。」

    君なら、笑ってくれるだろう?

    その、特徴的な笑顔で。
  • 彼は頭の中に墓を飼っていた。
    比喩表現でなく、そこにある事実として。
    くだらなく崇高な宗教に利用され、大切な人を無残に殺されてしまった。

    理不尽な暴力に否応なしに追われる彼を不憫に思いながらも、何処かで自分に起きてもおかしくないと考えている自分がいる。

    「願えば叶うよ」。
    それで済めば、この世はずっと生きやすいだろうが。才能不在の自分には、分からない。